歯科治療全般に言えることですが、外科処置ですので治療後には一定の炎症やそれに伴う痛みや腫れが出現します。
特に根管治療に関して言えば、根の尖端近くまで器具を通して洗浄液での清掃を行いますので、根の尖端の穴から周囲組織への刺激が加わります。治療中は麻酔を行いますのでこれらの痛みは最小限にして治療を受けて頂けますが、治療後に痛みがおこることがあります。これは治療中の器具操作による刺激であったり、切削片に含まれる細菌による免疫応答の結果だと言われています。
通常それほど大きな痛みが出ることは稀で、あったとしても術後数日の痛みとなりますが、稀に痛みや腫れが強くでることがあります。この根管治療後の根尖周囲組織の急性症状をFlare-upと呼びます。Flare-upの頻度としては8.4%程度と報告されていますが(Trope ME JOE 1999)治療をした1割前後で強い痛みが出ると考えるとやや大きな数字のように思えます。自分の臨床を振り返ってみますと、開業をして今年で3年目を迎えましたが把握しているだけで2症例ほどでした。医学で100%という数字は現実的にはあり得ませんが、可能な限り治療中、治療後の痛みがないように快適に治療を受けて頂きたいと考えています。
Flare-upを避けるために治療中の器具操作には注意を心がけていますが、万が一痛みが出た際にも患者さんに十分な説明をしておくこと。治療に伴う患者さんの不安を少しでも和らげることが大事だと考えています。