今回の衛生士ブログは、スポーツドリンクと経口補水液についてです。
毎日暑いですが、みなさんは水分補給をきちんとしていますか?
お茶やお水を飲む方が多いと思いますが、スポーツドリンクを飲んでいる方も多いようです。
しかしこのスポーツドリンク、脱水時に飲んでもらうほうがいいかと言われると、その答えとしてはNOです。
水を飲むと小腸から吸収され、全身の血管を通じて細胞の周囲に行き渡ります。
しかし、細胞の中にある水分が取り込まれるためには、電解質(イオン)であるナトリウムが必要です。
脱水だからといって水分だけ補給しても、細胞の中までには十分届かないのです。
激しい運動や大汗をかいた時、それに下痢の時は、水分だけでなく、ナトリウムなどの電解質も奪われます。そこで適度のナトリウムなどを補給するのに役立つのが経口補水液(ORS)です。
経口補水液は体から失われた体液、すなわち水分・電解質・ブドウ糖を補う液で、摂取することで速やかに体内に吸収されることから、『飲む点滴』とも呼ばれています。現在OS−1やアクアライト0RSなどが販売され、小児の軽度〜中等度の脱水に対して推奨されています。
では、スポーツドリンクと経口補水液はどのように違うのでしょうか。
まず、経口補水液と比べて、スポーツドリンクの電解質は半分以下です。
脱水対策に肝心な成分が少ないのです。
一方、経口補水液にはブドウ糖が2%含まれています。
実は、この濃度(1〜2%)のブドウ糖とナトリウムを同時に摂取すること
が重要なのです。
なぜかというと、この濃度(1〜2%)のとき、水分や電解質、ブドウ糖は最も早く吸収されます。
この濃度が高すぎても低すぎて小腸から吸収される速度が低下してしまうのです。
スポーツドリンクには砂糖などが6%も含まれています。
糖分濃度が高すぎると吸収速度は低くなります。
スポーツドリンクでの小腸での吸収率を調べた研究によると、経口補水液の1/3程度でした。
スポーツドリンクはスポーツ時の水分補給や軽い発汗に対する飲料であり、脱水時の水分補給に対しては不十分です。
あくまで清涼飲料水の一つと考えたほうが良いことがわかります。
スポーツドリンクには多くの糖質が含まれており、500mlを1本飲むだけで1日の砂糖摂取目安量をはるかにこえてしまいます。
常飲すると虫歯のリスクが非常に高まってしまいますので、経口補水液やお茶お水を体の状態に合わせて補給することが大切です。