患者さんから頂くお問い合わせで多い内容が、“他院で長く治療を受けているが治療が進まないので相談をしたい”というものです。お話を聞いて聞いてみると、一度の治療が数分程度ですぐ終わってしまい、毎週通っているが症状が改善がしないという状況が多いようです。
早い治療が必ずしも良い治療というわけではないですし、歯の状態によっては治療の回数がかかることはあります。しかしあまりにも長期間に渡る治療には何か問題があると考えた方が良いでしょう。
根管治療に必要な回数というのは、具体的に何回治療をしないといけないというような決まりはありません。根管系が適切に清掃され、炎症を起こす物質が除去され、術者が根管充填が可能だと判断した時点で充填材で根管を封鎖し終了となります。
つまり術者がどの程度治療時間を確保できるか、根管の形態や炎症の状況などで早く終わる場合もあれば回数がかかることもあります。
目安として、当院の場合は一度の治療時間を60~90分で行い、1~3回程度で根管充填まで終了することが多いです。長くかかる場合でも5回程度までには根管充填を終了するようにしています。
理由としては、長期間に及ぶ治療は患者さんの負担が大きいこと、また通常の根管治療で治癒しない場合は早期に外科処置の検討を行うようにしているからです。
通常の根管治療で全ての症例が治癒するわけではありませんので、その場合は外科処置の適応または外科処置ができない場合は抜歯となります(外科処置が可能であれば多くの症例が治癒していきます)
一番大切なことは、なぜ治療が長引いているか、術者があとどの程度の治療回数を想定しているか、もし治療が上手く行っていない場合にどのような手段を次に選択していくか。そういった治療の進行に伴う明確な展望を持っているかどうかということです。
1年以上根管治療に通ったという話を聞くことがありますが、これは患者さん自身の負担が非常に大きなものとなります。患者さんが食事を含めた日常生活を快適に送れるように、治療期間を長期化させないことはQOLの観点からもとても大切です。
そのためにはある程度の時間を確保して、可能な限り少ない回数で治療をしていくことが大事だと考えています。